理事長所信

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<はじめに>


 三木青年会議所は高い志を持った36名の青年により、1959年に全国で155番目の青年会議所として設立され 今年 で63年目を迎え ます。その長い歴史の中で 、三木青年会議所は修練・奉仕・友情の三信条のもと 、 常に強固な結束を誇り、自己の成長やわがまちの未来のために 運動を行い、三木のまちを 牽引する リーダーを数多く輩出してきました。私たちはふるさと三木のより良い未来を創るという先輩諸氏の想いを受け継ぎ、 志を持って時代に即した運動を行って いく必要があります。
 一昨年より続く新型コロナウイルス感染症の蔓延が未だに終息の見通しが立たない中で、我が国では、 多くの企業 が存続の危機に立たされ 、三木のまちにも大きな影響が出ております 。青年会議所においてもコロナ禍の影響は無視できないものがあり 、活動が制限される中で、国内の メンバー数は大きく減少しています。
しかしながら、戦後の荒廃の中「新日本の再建は我々青年の仕事である」という思いのもと始まった青年会議所 運動は 、再び 国難と言われる今こそ真価を発揮すべき時だと考えます。これまでの常識が通用しないこの時代に、三木青年会議所は 今できる事は何かを 日々議論し、行動に移してまいりました。これまでの取組を更に進め、わがまち三木の持続可能な確かな未来を創る志を持った人財を育成できる組織へと進化していかなければなりません。

<持続可能な組織への深化>


 40歳でメンバーが卒業を迎える青年会議所において、会員拡大は常に必要不可欠です。近年の三木青年会議所はコロナ禍においても一定数の会員拡大に成功していますが、それは担当委員会を始めとする「個」の拡大の成果であることが否めません。そして、これまで会員拡大を中心になって取り組んできた経験豊富な会員がここ1 、2年で 相次いで卒業を迎えるという現実があります。しかしながら 、昨年度より、メンバー個々ではなく、組織として持続的に拡大に取り組む全員拡大の意識が芽生えてまいりました。本年度はこの全員拡大を更に進め、メンバー一人ひとりが会員拡大の当事者になる必要があります。
 全員拡大に取り組むうえで まず 重要なことは、メンバー全員の強みと、青年会議所に取り組んでいる理由を把握し、役割を与えることです。候補者は仕事に繋がる人脈を広げたい、自己を成長させたい、世界の人々と交流したい、まちづくり に取り組み たいなど、 人それぞれの課題や思いがあって入会を決めますが、青年会議所には候補者のニーズに応えられる様々な仕組みが用意されています。候補者のニーズをまずしっかりと把握し、そのニーズに沿った青年会議所の魅力を説明できるメンバーをマッチングさせることができれば自ずと入会に繋がると私は考えます 。
 また 、候補者やメンバーにとって魅力的な組織であることも重要です。私自身、青年会議所活動に真剣に取り組む中で、信頼関係が生まれ、公私ともに 様々な相談ができる友人を作ることができました。活動に真剣に取り組めば、その分だけ、悩みや葛藤が生じるものです。そんな時に、乗り越える力を与えるのが、メンバーの励まし合える人間関係です。
互いに助け合えるメンバー間の絆を深め 、メンバーが運動に邁進できる環境を構築し ましょう。
 会員拡大は「最大の意識変革の機会」とも言われています。なぜなら、会員拡大は青年会議所の事を全く知らない人や、元々ネガティブなイメージさえ持っている人の心をも揺さぶり、我々の同士になってもらう活動だからです。 メンバー一人ひとりが、今自分 にできることを考え、会員拡大を通じて新たな価値観と出会いましょう。そして、明るい豊かな社会の実現という理念のもと、女性会員や 20代の若手会員、多様な業種、就業形態の会員を増やし、互いの価値観を尊重し、共に成長できる組織へと 結束力を 深化させていきましょう。

<将来を見据えた組織への深化>


 青年会議所の使命は、青年が社会により良い変化をもたらすための発展と成長の機会を提供することです。会員数に占める入会3年未満の新会員の比率が高まった結果、新会員に成長の機会を提供できるメンバーが不足するという事態も今後考えられます。経験豊富なメンバーが在籍する今こそ、一人ひとりがわがまち三木の持続可能な発展に寄与することのできる三木青年会議所の将来戦略を考え、深化させていかなければなりません。
 2019年、三木青年会議所の創立60周年に5か年計画として「三木JC中期ビジョン」を策定しました。この三木青年会議所独自の中期ビジョンは、組織として5年間で達成すべき将来像であり、メンバーのベクトルを合わせ、互いに協力していくための道標であります。
 本年度は計画の3年目に当たり、過去2年間の取組を検証し、今後3年間で中期ビジョンの達成に向け何が必要かをメンバー全員で検討し、共有してまいりましょう。
 また、青年会議所が行う運動は市民の意識を変革することにあり、そのためには、三木青年会議所を認知していただき、共感していただけるファンを増やし、青年会議所の地域における存在価値を高める広報活動が必要です。自分の興味ある情報以外は取捨選択される情報過多の現代において、一貫性の無いプロモーションやストーリーの無い広報活動は一時的にマスコミや市民の目に留まることはあったとしても、組織の価値を高めることには繋がりません。三木青年会議所の価値を高めるには、継続的に一貫したメッセージを発信しつづける広報戦略を組み立てる必要があります。
 三木青年会議所の目指すべき方向から広報で達成すべき目的をまず設定し、その目的を達成するために、ターゲット、広報媒体、届けたいメッセージの内容を最大限の効果が得られるように選定しましょう。一貫したメッセージを戦略的に発信し続けることで、三木青年会議所のブランディングが確立します。
 三木青年会議所の将来を見据えて組織戦略と広報戦略を深化させ、一人ひとりの力で地域にとって必要不可欠な組織にしてまいりましょう。

<地域を牽引できる人財への新化>


 三木JC中期ビジョンにおけるひとづくりビジョンは「地域の新たな価値を創造できるイノベーターの育成」です。時代に即した新たな価値を創造し、今後の三木市を牽引できる人財(イノベーターを輩出する組織を目指しています。では、地域を牽引できる人財とはどういうリーダーでしょうか。
 かつての大量生産、大量消費の時代は、優れた行動力と先見性を持ち、組織を動かす牽引力を持ったカリスマ性のあるリーダーが求められていました。しかしながら、大量生産が価格競争を生み、どこでも、誰にでも手に入る商品、サービスが溢れた結果、ここにしかない新たな価値や多様性が求められるようになった時代では、求められるリーダーシップも変わってくるのではないでしょうか。私はこれからの時代に求められるリーダーとは、「自らの想いを行動に移し、地域・業界・企業・社内の他部門など、あらゆる垣根を超え、ネットワークを広げて新たな価値を生みだせる環境をつくる人財」だと考えます。
 自ら優れた計画を構築し、人に指示ができる従来型のリーダーよりも、課題解決のために行動を起こし、自分の苦手な事やわからない事は得意な人に依頼し、チームを作って互いのアイデアを組み合わせることのできるリーダーこそが今、求められています。そのようなリーダーを育成する場として、多様な個性を持ち、意識の高い人財が集まる三木青年会議所は最適な環境ではないでしょうか。課題解決への強い志を持ち、他者を理解し、巻き込む力をもった、時代に即したリーダーシップを開発してまいりましょう。
 また、青年会議所の学びはLOM内だけで留まるものではありません。出向という挑戦すればするだけ成長できる機会が外部にも豊富に用意されています。私自身も、出向を通じて、兵庫県内各地の高い志を持った同士と数多く知り合う機会を得ました。そうした青年会議所の可能性に挑戦し、LOMの看板を背負って出向する出向者を積極的に支援してまいりましょう。そして、会員が出向や各種大会での学びの機会に目を向けるよう働きかけてまいりましょう。
 青年会議所は所属するだけで成長が保証される組織ではありませんが、自身の課題に向き合い、挑戦する事のできる無限の可能性を秘めています。常に変化し続ける社会の中で、私たち一人ひとりが挑戦を当たり前に変えていき、地域を牽引できる人財へと新化していきましょう。

<真価を発揮できる青少年の育成>


 三木JC中期ビジョンにおけるまちづくりビジョンは「思い描く未来を実現できる、個性あるまち三木の創造」です。三木市にある誇れる資源の強みをまちの個性として知っていただき、ここにしか無い価値を感じていただくことで、三木でなら自分が思い描く未来を実現できると思っていただけるようなまちづくりを目指しています。では、未来の三木でなら自己実現ができると思っていただくには何が必要でしょうか。私は未来のまちの担い手となるべき青少年がふるさとへの愛着や誇りとともに、目標に向かって挑戦する志を育む必要があると考えます。
 令和元年版子供・若者白書では、日本の若者は諸外国の若者と比べて、自身を肯定的に捉えている割合が低く、社会参画意識も低いことが指摘されております。更に、三木の青少年に目を向けると、全国学力・学習状況調査のアンケートでは、「失敗を恐れず挑戦している」や「地域や社会をよくするために何をすべきかを考える事がある」といった項目については、小学生は全国平均を上回っているものの、中学生は全国平均を下回っています。青少年が自分の夢や志の実現のため努力することのできる地域を創るには、青少年の自己肯定感と社会参画意識を高めていかなければならないのではないでしょうか。
 青少年の教育、育成には学校、家庭、地域の三者がそれぞれに異なる役割と責任を持っており、社会全体で青少年の育成を行っていかなくてはなりません。青少年を取り巻く環境が年々厳しさを増している中で、今こそ、地域に根差す私たちが青年会議所ならではの青少年育成に取り組む必要があります。私たちは、三木の青少年にふるさとの魅力を感じていただく中で、自分の真価を発揮し、将来に夢や希望を持つきっかけとなる機会を提供していかなければなりません。青少年が自分の持つ個性や能力を最大限発揮する経験ができれば、それが彼らの自信となり、ひいては地域の未来を創る人財の輩出へと繋がります。

<おわりに>


 大正12年、関東大震災という危機の時代、廃墟になった首都東京の復興を指揮し、現在の東京の姿を形作った後藤新平は死の間際に次のような言葉を遺しています。
「金を残して死ぬ者は下だ。仕事を残して死ぬ者は中だ。人を残して死ぬ者は上だ。」そして、私たちが例会の度に唱和するJCIクリードには、次のような一節があります。「人間の個性はこの世の至宝であり人類への奉仕が人生最大の使命である」私たちが暮らし、働く三木のまちは、多くの先人の苦労の積み重ねの上に存在します。私たち青年世代は三木の確かな未来を創り、先人から受け取ったバトンを私たちの愛する子どもたちの世代へと繋いでいかなくてはなりません。
 目標に向けて努力する人間を成長させる青年会議所の無限の可能性と、メンバーの友情と情熱を持ってすれば、いかに困難な目標であろうと必ず実現できると私は信じています。人は自分のためだけには生きられない。一度しか無い人生、世のため、人のため、まちの未来のために自分の命を燃やしましょう。そして、私たちがわがまちの変革の起点となり、志を持った多くの人財を巻き込み、共に持続可能なまちの未来を創ってまいりましょう。