<はじめに>
1949年、戦後間もない時代に「新日本の再建は我々青年の仕事である」との思いのもと青年会議所が設立されました。やがて、その志に賛同する同志が全国各地に現れ、三木市でも地場産業の将来を熱く語り合う青年たちにより「次代を担う青年として広く社会の見地に立って今後の産業経済文化発展に寄与する」との思いのもと、1959年に三木青年会議所が設立されました。以来、「修練・奉仕・友情」の三信条をもとに時代と共に成長してきた三木青年会議所は本年度、創立60周年という大きな節目を迎えます。私たちは創始の精神を胸に今日までの歴史を今一度振り返り“敬意と感謝” を伝えねばなりません。
本年は天皇陛下御譲位による改元があり、平成という時代が幕を閉じ、新たな時代が始まります。平成の30年を振り返ると天災による被害、世の中を震撼させる事件、情報技術の進歩など様々な出来事や社会の変化がありました。私たちは世の中で起こりえる現実に対して青年経済人としてどうあるべきかを考え、いかなる時代の波にも創造力を持って立ち向かって参ります。
日本青年会議所が始まった時代と比べると日本は大きく経済成長し、物質的豊かさを手に入れました。しかし新たな社会問題は尽きることなく押し寄せています。三木市でも地域社会に対する問題意識を持った400を超える団体が多様な活動を行っており、「JCしかない時代」から「JCもある時代」と言われる程、他団体との違いや存在価値が伝わっていないのかもしれません。「JCやっとるもんがJCやってないもんに負けたらあかん」そんな言葉を胸に、このまちに必要な団体であることを証明しなければなりません。
三木青年会議所という組織が60年という長きに亘り存続してきたのはなぜか。この大きな節目の年に、私たちは今一度振り返らなければなりません。それは創始の精神に始まり、常にその時代の社会的課題に向き合い、ひとのためまちのために情熱を捧げられてきた先輩諸氏の存在に他なりません。そんな先輩諸氏に敬意を払い、私たちは若い頭と体を使って日々修練し、地域のリーダーとして次代を担っていけるだけの力を蓄える必要があります。
これまで築き上げてこられた三木青年会議所の歴史には、私たち現役会員が知らない物語や想いがたくさんあることでしょう。そんな想いの詰まった宝箱を覗かせて頂き、この60年間の活動の軌跡を共に振り返りましょう。また、そんな先輩諸氏や現役の同志達、関係諸団体の皆様に家族や従業員といった、自分たちを取り巻く多くの方々の支えによって活動できていることを実感し、全会員が心から礼を尽くし感謝を伝え、未来を描く三木青年会議所の指針と決意に共感と賛同を頂くことのできる記念式典を執り行いましょう。その敬意と感謝の心こそが三木青年会議所会員としての誇りとなり、明日への活動の原動力となります。
本年度、三木青年会議所は第52回兵庫ブロック大会の主管をいたします。三木市での開催は実に21年振りとなり、兵庫県下25LOM全会員の資質向上とまちの発展に繋げられる絶好の機会を頂きました。しかし、このブロック大会主管への挑戦は、一筋縄ではいかない過酷な事業構築になる事が予想されます。ここでまず必要となるのは会員全員の団結力です。私たちは入会3年未満の新会員が半数を占める中でも今まで共に活動し、絆を育んで参りました。また、兵庫県下の中でも勢いがあるLOMと呼び声の高い三木青年会議所会員として自信を持ち、仲間を想い合う事が重要です。更には、戦友となる兵庫ブロックと手を取り合い一枚岩となることが成功の鍵となります。三木青年会議所持ち前の明るさとおもてなしで友情を育み共に挑みましょう。また、忘れてはいけないのが来場された方々に何を持って帰ってもらえるかです。青年会議所が行っている運動が来場者に伝わり、心に残らなければ、その日の祭りごとで終わってしまいます。何かひとつでもその人の明日を変えられるような人生に遺る「心のレガシー」を持ち帰ってもらえる機会となるよう努めましょう。
世の中が変化するスピードは速く、時代のニーズや課題は目まぐるしく移り変わっていきます。そんな変化の波をつかみ時代に新たな風を取り入れられるのは、常識だけにとらわれずこれまでにないものを生み出せるクリエイティブな能力を持った人材です。つまり創造力を持つものこそが今までにない常識を作ることができます。これからの時代を担う私たちは常に時代に敏感な組織として情報網を張りめぐらせ、どのように対応していくかを考えるための発想力や物事を進めていく上での戦略性、そして固定概念を脱する勇気を持たなければ新しい道を切り開くことはできません。それに加え私たちには“若さ” という無限の可能性があります。若いからこそ持ち合わせる柔軟な頭と体にクリエイティブな能力を取り入れ明日を創造できる人材を育成して参ります。
現在、様々な青年団体がある中でもこれだけ活発に活動を続けている団体は他に類を見ません。三信条をもとに活動している青年会議所だからこそ得られる成長と未来への希望があり、それは第一線で活躍しておられる先輩諸氏の背中を見て感じ取れます。私たちは先輩諸氏のような地域のリーダーをより多く輩出するために一人でも多くの仲間を集め組織を拡大していかなければなりません。共に活動する会員が増えることで会員相互の成長や組織の発展へと繋がります。さらには友情を育み明日を語ることができる仲間となれば自分の人生においての財産となる事でしょう。
本年度はこれまで行ってきた拡大活動の経験や情報をもとに計画を立て、会員の個性が活きる役割分担をして戦略的に拡大活動を行いましょう。そして、新たに仲間となった会員にも活き活きとJC活動に参加してもらえるよう機会を与え、個の成長と組織力の強化に努めましょう。拡大は止まる事の無い継続事業であり、青年会議所運動そのものです。次年度以降にもこの運動のバトンをしっかりと繋ぎ、2019年度最終最後まで取り組みましょう。
青年会議所は何のために存在しているのか。私たちが活動している姿を単純に発信しても青年会議所を経験していない人の理解を得ることは難しいでしょう。ではなぜ理解を得る必要性があるのか。私たちの根幹には運動論があり、それは世を生きる人々の意識を変革し、共に世を良くしていくという使命があります。市民の方々が私たち青年会議所に賛同し共に運動を展開していくために、まずは三木青年会議所を知っていただき、興味を持っていただけるよう発信をしていく必要があります。昨今はインターネットの利用はパソコンのみならず、スマートフォンやタブレット型端末といったスマートデバイスが普及し、どこにいても情報が得られる社会になりました。それに伴い多くの人がSNSから情報を得る機会が増加しており、直接知り合いでは無い人へも情報を届けることが容易となっている反面、情報量の増加は更に勢いを増すことが予想されています。そんな数多く届く情報の中からどのように発信すれば三木青年会議所を選んでいただけるかを調査研究し、相手に伝わりやすい見せ方をしていかなければなりません。また、60周年とブロック大会主管という本年度の二本柱は三木青年会議所を知っていただける絶好の機会です。私たちがひたむきに、そして楽しく活動している姿を発信し、三木青年会議所ファンを増やして参りましょう。
1972年に日中国交が正常化され、日本と中国の関係が安定化へ向かい始めた時代に三木青年会議所と台湾の中壢国際青年商會は姉妹締結を検討していました。しかし、その頃の台湾は中国領土の一部とされ、自由に日本へ足を踏み入れる事はできないという問題がありました。その打開策として、中壢JCが来日する際には三木JCの理事長が身元引受人となることで中壢JCメンバーの日本入国が可能になり、1975年6月に姉妹JCとして締結の調印が実現しました。以来、43年という長きに亘り互いの国を行き来し、交流を重ねて参りました。そんな先輩方の想いと苦労から生まれた友情だからこそ中壢JCとの友好関係は今も変わらず輝き続けています。今後ますますグローバル化が進む時代において、JCの友情は国際問題をも超越できると信じ、この友情をこれからも大切に繋いで参ります。本年度は中壢JCメンバーが三木に訪れます。私たちは真心を込めて精一 杯もてなし、友情を育み、世界との友情の素晴らしさを体感しましょう。
日本が今抱える問題のひとつに少子化が叫ばれ、今後の経済や社会への影響が大きくな っていくことは目を逸らすことのできない現実として突き付けられています。三木市はそ の影響を早くも受け、消滅可能性都市として挙げられており、自治体としてもまちの特性 を活かした戦略を策定されています。また、地方分権改革により各地方において自律的か つ持続可能な社会を創る地方創生を推進する戦略は圏域単位でのまちづくりが重要視され てきました。私たち三木青年会議所としても三木市内だけにとどまらず、視野を広げたま ちづくりを考えていかなければなりません。より市民に近い目線と、日々のJC活動で養 われた観点を持ってすれば、きっと三木の未来を照らす事のできるアイデアが生まれるは ずです。私たち自身が私たちのまちについて考察し、個性あるまちを創造できるよう未来 への道しるべを描きましょう。
青年会議所が与えてくれるのはあくまで機会です。青年会議所に入会しただけで何かを得られるわけではなく、目の前にある機会に対し自ら参加する事、やってみる事でようやく気づきがあり、自分の成長に繋がります。40歳までという限られた時間の中で、仲間と共に日々鍛錬し、今しかできない青春を共に駆け抜けましょう。そして、青年会議所で得られた自らの経験を活かし自分の社業を発展させ、ひいては社会の発展に寄与していきましょう。また、品格ある青年経済人としての自覚を持ち、凛とした姿勢でこのまちを牽引してまいりましょう。
本年度は三木青年会議所にとって大きな節目の年です。諸先輩方と共に歩いてきた昨日までの道のりを振り返り、今日という日を皆で実感し、明日へ向かって現役会員としての一歩を踏み出しましょう。